松本のベーカリー&カフェ「スイート」は、明治時代に渡米した松本出身の日本人が、シアトルで開業した「KAIUNDO CONFECTIONS(シアトル開運堂)」という和菓子屋さん が第1号店 。
100年以上の続くスイートの、創業から今日に至るまでの歴史をご紹介します。
1913年(大正2年)
アメリカで「シアトル開運堂」創業
松本の菓子店「開運堂」の次男である 渡邊宗七郎は、1906年(明治39年) 21 歳の時に志を抱いて渡米。
1913年10月、故郷の味を懐かしむ現地の日系移民向けに、和菓子店「KAIUNDO CONFECTIONS(シアトル開運堂)」を創業したのが、スヰトの前身となりました。
縄手本店 には、創業時の写真中央に写っているシャンデリアや、当時使っていたレジスターが飾られています。
1924年(大正13年)
松本市縄手通りに「開運スヰト」オープン
1923年に発生した関東大震災をきっかけに宗七郎は帰国。翌年、現在の縄手本店の場所に「開運スヰト」を開店しました。
当時はまだ珍しかった西洋料理や洋菓子、 パン、アイスクリーム、チョコレート、ソーダ水 などを提供。
シアトルのセンスを取り入れた店舗は、ハイカラな喫茶店として松本中の注目を集めました。
縄手本店には、当時の包装紙をモチーフにしたパネルも飾られています。
1930年代(昭和初期)
陸軍御用達となる
昭和に入り、陸軍御用達となった開運スヰトは、軍隊にもパンや菓子を納めました。
当時の包装紙には「陸軍御用」という文字が記されています。
松本で唯一の存在だったスヰトブラスバンドも結成。
戦時中には松本駅前で出征兵士を送る演奏を行うなど、喫茶店というジャンルを超え、地域になくてはならない存在となっていきました。
1946年(昭和21年)
パン作りを始める
戦後の食糧不足の時代に、手に入りやすくなった小麦粉を使い、パン製造を始めました。
1947年には学校給食にコッペパンが出されるようになり、日本人の食生活にパンが広まっていきました。
1949年(昭和24年)
社名を「スヰト」に変更
洋菓子やパンが主力商品となり、和菓子店のイメージから脱却するため「スヰト」 に社名を変更しました。
1964年(昭和39年)
寄宿舎付き4階建ての本社ビル完成
東京五輪の年、1階をパン工場、2階を洋菓子工場、3階を事務所と倉庫、4階を寄宿舎にした本社ビルが完成。
社員の生活環境向上や地域貢献にも力を入れ、1,500人もの子どもたちが集まる一大イベントを開催するなどしました。
1970年(昭和45年)
本格的フランスパンを製造・販売
縄手本店を全面改装し、フランスから専用窯2台と専用機材一式を輸入し、パン職人さんも招きました。
長野県内で焼きたての本格的なフランスパンの製造・販売は、スヰトが初めてでした。
1980年代
デパート・スーパーへの出店
当時まだ長野県内では珍しかった、デパートやスーパーマーケットのテナント出店を積極的に行いました。
長野市や諏訪市、伊那市にも店舗は拡大していきました。
2001年(平成13年)
デリバリー事業を始める
経営の合理化を進め、新たなサービス形態として、パンのデリバリーを開始。
たった2台の配達車でスタートしたサービスでしたが、数年後には配達車10台、訪問先は1,000件を超えました。
2007年(平成19年)
初の郊外型ベーカリー「石窯パンの城 SWEET並柳店」オープン
海外ベーカリーのテイストをコンセプトに取り入れた、スヰト初の郊外型パン店「石窯パンの城 SWEET 並柳店」がオープン。
高さ、直径が3mもあるスペイン直輸入の石窯を設置。さらに、広い駐車場を持ち、車でのアクセスを容易にしました。
「焼き立てパンをその場で食べられるように」とテラス席やイートインスペースも設置しています。
店内にはスイートの歴史をモチーフにデザインされたディスプレイが施されています。
2013年(平成25年)
創業100周年 「SWEET あづみ野店」オープン
安曇野市穂高に、郊外型ベーカリー2店舗目となる「SWEET あづみ野店」がオープン。
穂高は創業者が渡米するきっかけとなった、研成義塾(後の旧制中学校)があった場所。創業からちょうど100年目に安曇野の地に里帰りしたことになります。
この年には 「マツモトシアトルクラブ」を立ち上げ、創業の地シアトルの企業と交流を開始しました。
人気商品「クロワッサン ヌーヴォー」は、シアトルのパン屋「ベーカリー・ヌーヴォー」との交流から誕生しました。
2017年(平成29年)
コワーキングスペース「SWEET WORK」開設
創業地シアトルのような、多様な価値観が混ざり合う空気感を松本に作り出すべく、本社3階にコワーキングスペース「SWEET WORK」を開設。
株式会社スヰトのバックオフィスとしての機能に加え、フリーランスや多拠点のリモートワーカーなどが集う場となり、ベーカリーというジャンルを超えた事業の輪を生み出しています。
2021年(令和3年)
「SWEET 塩尻店」オープン
全国有数のワインの産地・桔梗が原に、郊外型ベーカリー3店舗目となる「SWEET 塩尻店」がオープン。
外観はワイナリー風のシックな色合いのデザイン。塩尻名産のワインやレーズンを練り込んだワインブレッドなど、塩尻店限定商品も数多く販売しています。
「イエローバス チャーリー」が登場
塩尻店の開店と同時に、シアトルのスクールバスをカスタムした「イエローバス チャーリー」がデビュー。
店舗だけでなく屋外イベントなどで、アメリカンサイズのオリジナルハンバーガーの販売をスタートしました。
新しい挑戦をし続ける企業へ
販売開始から50年以上続くロングセラー「やさいぱん」「カレーパン」は、地元ですっかりお馴染みとまで言っていただけるようになりました。
縄手本店は 、信州産小麦と地産地消の食パン専門店カフェ 「CAFE SWEET」 へ。 郊外型ベーカリーは、毎月30種類以上もの新商品を開発する「ベーカリースイート」へと発展。
常に新しい挑戦をし続けています。
お客様の笑顔が最高の報い
お客様一人一人に安全で美味しいパンを提供すること
お客様一人一人に敬意を表し家族同様のおもてなしを心がけること
お客様一人一人に喜びと感動を与えること
これまでも、そしてこれからも、株式会社スヰトは、そのパイオニア精神によって、未来への可能性の扉を開き、関わる全ての人々の笑顔の追求と、地域社会への貢献に努めてまいります。